今、最も話題となっている新型コロナウイルス感染症のニュース。
毎日のように感染者が増えた、海外ではどうだ、などの情報が舞い込んでいます。
2月29日18:00現在では
国内感染者234名
国内死亡者5名
(クルーズ船の感染者705名、死亡者6名)
海外においては感染者約82,000名、死亡者2,800名と言われています。
市中感染者や検査結果待ちの人など、これから感染が拡大する恐れも大いにあり、
最終的な数字がどこまで伸びるのかも検討がつかないそうです。
毎日のように報道されるニュースに対して、
“日本政府の対応が悪い!”と言う声が多数を占めているかと思います。
私は政府を擁護するつもりはありませんが、政府の何が悪かったのか?
どうするべきだったのか?を冷静に考えてみたいと思います。
①政府が悪いという意見
色々なSNSやニュースサイトでのコメントを抜粋すると、
・春節前に中国人の訪日禁止を行っていれば、感染拡大を遅らせることできた
・中国からの入国を禁止しなかった日本は大変なことになっている
・諸外国並みの入国規制を行うべきだった
と入国規制を速やかに行わない日本政府が悪い、という意見がかなり多いようです。
ここで日本政府の対応を振り返りましょう。
1月28日に新型コロナウイルスによる肺炎について、指定感染症とする閣議決定をしました。
これにより感染者を強制的に入院させることや仕事に制限をかけることができます。
また、接触者調査を積極的に行うことができるようになります。
安倍晋三首相は1月31日の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、入国申請前14日以内に中国湖北省に滞在歴のあるすべての外国人の入国を拒否、及び湖北省発行の中国旅券所持者についても入国を拒否すると発表しました。
これはWHOが1月30日に発表した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大について
「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言したことを受けての措置と考えられます。
いわゆる緊急事態宣言です。
まずここで言えるのは、日本政府は”WHOの緊急事態宣言”を根拠に
“1月31日”に”中国湖北省の滞在歴及び旅券所持者の外国人”に入国禁止を決めた、ということです。
ちなみに1月27日時点での国内感染者は4名
1月31日時点では12名
2月22日時点では105名
②諸外国の対応
まずは大国アメリカです。
1月31日、コロナウイルスの大流行に対応するため、アメリカ政府は過去2週間以内に中国を訪問した外国人の入国を禁止すると発表。
2月2日17時に緊急事態宣言を発令。過去2週間以内に中国湖北省に滞在していたアメリカ国民は最大14日間隔離されることになる。
中国本土の他の地域から帰国したアメリカ国民も入国した空港で健康検査を行い、最長で2週間の自宅待機を求められる。
この緊急事態宣言を発令段階で発症者は7名。
2月27日現在では59名。
そしてお隣韓国です。
2月4日、韓国の文在寅大統領は新型コロナウイルス対応国務会議にて、国民を保護するため、出入国管理を強化し、入国制限措置を開始したと述べました。
具体的には
・中国湖北省が発給した中国パスポート所持者の入国制限
・出発地発券日基準の直近14日以内に中国湖北省を訪れた外国人の入国を禁止
韓国では1月31日時点での感染者は7名。
2月27日時点では1595名。
③比較してどうなのか?
まず”早さ“について。
日本は1月31日時点で入国制限
アメリカも同様の1月31日
韓国は2月4日
また日本は1月28日時点で指定感染症としての取り扱いを決めるなど、他国と比較して対応が遅いとは言い難いと思います。
そして”内容“について。
日本と韓国はほぼ同様なものとなっています。
アメリカとの決定的な違いは
“中国湖北省のみ”か”中国全土”かです。
おそらく皆さんはこの中国全土にしない判断に怒りを覚えているのだと考えます。
確かにアメリカの数字が物語るように、全土にすれば感染者は減っていた可能性があります。
ただ、アメリカはインフルエンザが大流行している最中、正直に正確な数字を測れているとは思いません。
事実として、1月31日になるまではどの国も(中国や北朝鮮は除く)WHOの根拠無しに入国制限などできない状況で、
その1月31日で既に12人の感染者がいたわけですから、何れにしても感染拡大を防ぐ、または中国全土の入国禁止で解決する問題とは思えません。
また、法律や憲法無しに入国拒否や感染の疑いのある人の隔離などできるはずがありません。
④どうしたらよかったのか?
まず、早急に法律を作る。
憲法における基本的人権の尊重がネックになりますが、どのレベルでの強制力を働かせられるのか、他国の人間に対してどこまで実用できるのか、吟味して新法を制定すべきだという声をあげるべきと考えます。
また、過去にもSARSやMARSといった感染症がありながら、どこか他人事に考えていたのは政治家だけではないと思います。
私たち国民も同じではないでしょうか?
これは大きな反省点であると思います。
法の根拠無しに隔離しろや禁止しろ、入国制限をしろという方は、
緊急事態基本法の適応を考えているのでしょうが、時の政権による独断で法律や憲法を超えた判断が出来る、というのは恐ろしいと思いませんか?
まずは根拠があっての法律。私たちは法治国家に生きていると認識を持って欲しいと思いました。
今はとにかく国難、世界規模の危機的状況の中で、みんなで力を合わせる必要があると思います。
不満や不信感については、全てが収束した後に結果を基に検証して、しかるべき形で批判をすれば良いと思います。
その声が多いのであれば選挙にて結果という形で現れると思います。
不満があるのはわかるが、批判は全て終わった後に振り返ろう。みんなで協力して乗り切ろう。そして選挙に行こう!