新型コロナウイルスで話題が持ちきりの昨今ですが、怪しげなニュースが現れました。
安倍政権は1月31日の閣議で、2月に63歳となる東京高等検察庁、黒川弘務検事長の定年を8月までの半年間、延長することを決めました。
検察庁法では、検事総長の定年が65歳、高検検事長を含む検事の定年を63歳と定めており、定年の延長が無いということが慣例となっていたため、極めて異例な事態です。
この問題に対して様々な意見が多く上がっていますが、どのような声が多いのか調べてみました。
・定年の延長を認めないという慣例を政府の解釈で変更するのはおかしい
・黒川氏は政権寄りの人物であり、忖度が働いたのではないか
・解釈を変更するのであれば、根拠が必要ではないか
・恣意的な法律解釈の変更は、法治国家として許されない
・検事長は公務員であるので、定年延長があっても問題ない
・法律上には定年の規定はあるが、延長についての記載は無い
・昔とは時代が変わり、定年延長が当たり前となってきている
賛成側の意見は、定年延長に対する良し悪しの話が中心なのに対して、
反対側としては、定年延長の決済を巡るルールや手法についての話が中心なようです。
賛成派の意見
まず、定年延長が悪なのか?という問題があります。
法律的な解釈を考えるときに必要なのが検察庁法です。
検察庁法とは、検察庁の組織と検察官の任命の手続について定めた法律のことで、22条には
総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。
との記載があります。
すなわち、定年の年齢こそ決まっているが、延長の記載は無いので解釈によっては延長することは悪とは言えなさそうです。
特に現在は平均寿命も伸び、昭和22年の制定時と比べても生き方も暮らしも変わる中で、時代背景を汲んだ法律解釈は的外れとは言えないかと思います。
反対派の意見
それでは反対派の意見について考察していきます。
まず、定年延長は悪では無いが、昔から変わらなかった慣習を変更するには理由が必要だったという意見。
とにかくここが問題であり、政府は理由や根拠を強く押し出せていません。
私個人の意見としては、検事総長の任命権が政府にある以上、そこの人事については政府に委ねるしかないし、それが政府に近しいとされる人物であったとしても。
人事に対する不満があるのならば、選挙で野党に投票するしか無いと思います。
ですので、人事に対する不満を置いておいて、決定や任命は良いですが、
その理由や根拠は国民や野党に示すべきではあると思います。
この日本は民主主義かつ法治国家です。
解釈を変える、ルールを変える際には伝える、報告するのは義務だと考えます。
根拠や理由を元に政府が責任を持ち法整備があり、国民がルールを守る義務を果たす。
義務を果たした国民に、国は基本的人権など様々な権利を与える。
国民と政府の関係はそうあるべきだと考えます。
ですので、この問題においては政府による説明、それも納得のいく説明が求められます。
これらを踏まえて一番言いたいこと
ここで、もう一つ大きな問題があります。
昨今大きな話題の新型コロナウイルスについてです。
この問題に対しても政府に批判の声が殺到しています。
その中に、
・中国人を日本に入れるべきで無い、即刻入国禁止にすべきだ。
・武漢市から帰国した国民を隔離すべきだ。
という意見が多く存在していました。
まず、法律の制定がなければ基本的人権の尊重の観点から(強制的な)隔離は難しいと考えます。
また、外国人に対して取り決めをするのであれば根拠がなければ難しいです。
日本やアメリカが1月31日に中国人や外国人に対する入国制限をようやく決めたのは、WHOの発表があってこそです。
ですから、法律や憲法に対する解釈の変更がない限り、超法規的対応をするほかない、ということになります。
これは、検事長の定年延長に対する政府の対応に批判する声と相対するものと思いませんか?
私は憲法9条を守れなどという人権派が、隔離だ入国禁止だと騒いでいる様子を見て違和感を感じていました。
また、そういう人物が定年延長の件で批判をしています。
私は日本は法治国家であるので、法律を速やかに制定、国民が納得いく形での説明が必要だと考えます。
法律は政府が決めるものではなく、国会で野党も含め審議があって決まるものです。
野党にも発議の権利があるはずです。
ですので一概に政府を批判するのは違うと思います。
ダブルスタンダードで批判を繰り返す人たちが、何か生み出せるのでしょうか?
法治国家を望むのか、政府主導での超法規的対応を望むのかどっちが良いですか?